「定年前、しなくていい5つのこと「定年の常識」にダマされるな!」では、
経済コラムニストであり、退職後8年間を経過した大江英樹さんが、
自身の体験と豊富な取材に基づいて、
定年後に、不安に駆られてやらないほうがいいこと、不安解消の考え方と合わせて、
具体的に教えてくれます。
この本を読むことで、やってはいけない5つの事を、
お勧めの、働き方や生き方を織り交ぜながら、体験や事例で理解できます。
ここでは、参考になった内容を元に“ししとう”に置き換えて理解したものを、紹介します。
このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線でお伝えします。
今の時代の定年後のリアルを語る
定年は、全てのサラリーマンにとって、人生の大きなイベントです。
多くの人は、定年後は一体どうすればいいのだろう?と大きく悩むことになります。
世の中には、定年対策本があふれ、定年準備セミナーが開かれ、定年の悩みを揺さぶられます。
それらの言説には、定年の不安を煽るものが多いです。
実際に定年を経験したことのない人が語ったり、
経験があっても昔のことだったりする人の発信が見受けられます。
著書では、間違った定年の常識や対策に、惑わされる事がないように、ヒントを提示します。
お金の不安
年金2000万円問題
年金2000万円問題について、
高齢夫婦無職世帯は、年金支給額では、生活費が5.5万円、不足します。
これが30年続けば、合計2000万円が不足します。
2019年6月、金融庁 金融審議会、市場ワーキング・グループ報告書に書かれた文章が発端でした。
この例は、預金保有に関するデータの平均値を、もとにしています。
預金資産を持っているので、それを毎月少しずつ、取り崩して
生活しているということを表していました。
つまり、
預金があり、年金収入では毎月不足する5.5万円を、使っても問題ないこと。
実態は、2000万円足らないのではなく、充分に預金を持っている。
本末転倒の話が、広まってしまったのです。
年金2000万円が不足する一点のみが、注目され、ひとり歩きしてしまいました。
また、往々にして、平均値では、一部の高額資産の人に、
数字は引きづられて高くなる傾向があります。
著者の例でいうと、このデータの支出26万円は、随分多いです。
実際の支出は、22万~23万円、平均の年金で、まかなえる範囲の金額です。
やってはいけない退職金投資デビュー【1/5】
退職金は取り崩してはいけない。
なぜなら毎月振り込まれていた給料がなくなるから、老後の生活を賄うための大切な資金です。
退職金を余裕資金と勘違いしてはいけません。
退職金を投資につぎ込むのは、やってはいけないのです。
年金は破綻すると不安に煽られて、投資を初めてしまう人が多いです。
年金2000万円問題がマスコミに取り上げられた2019年に、新規口座開設が増えました。
投資に経験のない人が、定年で、年金の不安を理由に、投資を始めるのは、たいへん危険です。
退職金投資デビューは、必ず失敗します。
何も勉強しないで、うまくいくほど甘くないのです。
投資は、自分の感情との戦い、それが制御できないと失敗します。
年金っぽい金融商品を買ってはいけません。
毎月分配型は、分配金を払うことありきになり、利益がなくても、
元本を崩して分配金を払うことになる金融商品なのです。
毎月の分配型投資信託は、資金を増やす目的には向いていません。
早期リタイヤの注意
一定以上の金融資産を持つことで、
嫌なことはしなくて良いと、腹を決めて仕事ができ、経済的自由が得られます。
充分な金融資産を保有できたことで、早期リタイヤした場合、
毎日が日曜日化し、趣味や好きなことができます。
ただ、趣味三昧の暮らしは、退屈のエンドレスに入ってしまいます。
早期リタイヤが、独立起業して、早期退職をするのであれば、生き方として意味があります。
ただし、早期退職しての起業は、慎重になったほうが良いです。
早期退職して起業する場合は、諸所条件を調べて準備することが必要です。
会社を辞めて独立するのであれば、辞めたあとの健康保険はどうなるのか、
退職金制度の年金受取が、何年勤務で得られるのか、調べる必要があります。
あと、1年後に辞めれば、権利が得られたのに、などということがあるからです。
サラリーマンとして勤めた結果、得られる全ての権利を確保し辞めて、起業しても遅くありません。
早期リタイヤでの起業が、ベストな選択かどうかは、状況によっては微妙です。
定年後起業と、早期リタイヤによる起業は、似て非なるものです。
節約するのではなく無駄をなくす
老後に必要なものは保険ではなく、現金です。
著者が入っている保険は3つだけです。
- 健康保険
- 自動車保険
- 火災保険
生命保険は、不要。
本人が亡くなった時、残された家族が、生活に困らないようにするものです。
60歳時点で、子供が独立していれば不要です。
医療保険も不要です。
医療費をまかなうのは、公的な健康保険の方です。
医療保険は、公的保険でカバーできない入院時の食費、差額ベット、交通費などが対象になります。
それらは、一定の貯蓄から賄えるものです。
保険は、その目的にしか使えませんが、
現金であれば、貯めておきさえすれば、どんな目的にでも使えます。
その他、あまり利用していない無駄な出費がないか探してみましょう。
スポーツジム、会員制のクラブ、新聞、雑誌、スマホのオプションなどです。
人生を楽しむためのお金はあまりケチらず、知らないうちに支払いしている無駄をなくしましょう。
定年後のお金の三分法
日常生活費は、公的年金支給額の範囲でまかなう
子供の教育費や住宅ローンの支払いが済んでいれば、
定年後の生活費は、現役時代に比べて少なくなります。
多くの方は、65歳まで、再雇用を選択されます、
年金が支給される65歳までに、生活レベルを年金で賄えるように調整すれば良いです。
一時出費・自己実現費は、働いて得る収入でまかなう。
一時出費は、家の修繕費、車の買換、子供の結婚資金援助などです。
自己実現費は、旅行や趣味といった、楽しい事に使う費用です。
こうしたお金は、毎月発生する費用ではないので、
定年後もなんらかの形で働き続け、そこから得られる収入で使えば良いです。
ただ、働くといっても、現役時代のハードな仕事ではなく、
せいぜい月5万か多くても10万、ゆるく働ければ充分です。
月5万円稼ぐとして、年間60万です。
趣味や旅行といった楽しみに使うのであれば、働くことは辛いことにはなりません。
医療介護費は、先の読めない、介護や医療にかかる出費に備え、
まとまった資金は、崩さず確保しておきます。
日常生活費や一時出費・自己実現費は、いずれもある程度、金額が読め、コントロールできます。
ところが三番目の医療介護は、コントロールできません。
発生しないかもしれませんし、発生した場合、いくらになるか、
想定と大きくことなることがあります。
貯蓄や退職金は、最初から生活費や遊びに使うのではなく、
手を付けずに取っておくべきものになります。
働き方
再雇用で働くのはやめる【2/5】
定年後の働いている割合
- 60~64歳で働く人は、8割
- 66~69歳で働く人は、6割
- 70歳以上で働く人は、2割
再雇用で働くと、自分の裁量でできる仕事の責任と権限が縮小されます。
モチベーションは、維持できず、仕事がつまらなくなります。
サラリーマンでいる限り、仕事で、完全に自己決定権を持つことは、不可能です。
再雇用は一見、楽に見え、不安はないけど、不満だらけです。
冷静に考えてみて、働くのは辞めたほうがよいのです。
■65歳になると、強制終了になります。
60歳であれば、曲りなりに現役ですが、5年間をなんとか働いたあと、
そこから新しい世界のチャレンジするのは、気力体力的に難しいです。
それでもなぜ、再雇用で働くのでしょうか。
定年時点での自信喪失が考えられます。
現役時代は、自信過剰です。
組織の中で守られていたから文句も言えたし、吠えることもできました。
退職時は、自信喪失になります。
いざ放り出されると分った途端、自信喪失になってしまいます。
■サラリーマンは、アウェイで戦ったことがありません。
著者の知人、女性のファイナンシャルプランナーの言葉を紹介します。
「大企業に勤めていた男は、アウェイの経験がない、女は常にアウェイで戦ってきた。
入社時から待遇で差をつけられ、結婚したら夫の実家はアウェイ、でも私の実家では夫は大事にしてもらえたから、夫はアウェイ感を覚えていない。
そんな男が、初めてアウェイになるのが、定年になった時なの。」
自信喪失は、
アウェイで戦わなければならないことに対する、本能的な恐れから来ているかもしれません。
■「定年退職後は、可能であれば再就職したいけど、一旦お休みしたい」とお考えであれば・・
女性社員の定年
1985年5月に成立した男女機会均等法以降、女性の活躍は広がりました。
■均等法第1世代は、定年を迎える年齢になっています。
彼女らは、定年に不安を持っています。
均等法第1世代の彼女らは、自分たちが頑張らないと、
後に続く後輩に、迷惑がかかるとして、必死に働いてきました。
彼女らは、仕事が好きです。
定年後は、再雇用を選択できますが、
男性の再雇用組を見ると、自分もあんな風になってしまうのかと戸惑っています。
定年後の事を考えると、居ても立っても居られなくなると不安を感じています。
■著者が現役の管理職の時期に、均等法世代の女子が、入社してきました。
彼女たちは、本当に優秀です。
結婚、出産、仕事に復帰しても、男性と伍して、
いや、むしろ男性以上に能力を発揮して働いてきました。
男性は、ある意味、手を抜いて働くことがありますが、
女性は決してそんなことはせず、常に目一杯全力で働き続けました。
だからこそ、定年の喪失感が大きいと思います。
女性こそ、会社に残って再雇用せず、転職するなり、起業して、自分で仕事をするべきです。
そのほうが、向いています。
そう思うのは、女性が持つアドバンテージの高さです。
■女性は、男性と違って、長年アウェイで戦っています。
新しい環境に入って仕事をする面では、遥かに高い適応力を備えています。
また、フラットな関係の人同士の、コミュニケーション力の高さは、男性の比ではありません。
男性は、会社の中における、上司と部下の、タテのコミュニケーションは得意ですが、
ヨコのコミュニケーションが、苦手です。
会社の中では良いですが、
一人で、外の世界で稼ぐとなると、コミュニケーション能力が低く、
一歩も踏み出せません。
第二キャリアの研修会では、男性の場合、どことなく厭世感が漂いがちです。
一方、女性は、熱心に前向きで、希望に向けた意気を感じます。
女性の持つ前向きな気質で、新しい仕事にチャレンジする意気込み感に、学ぶところが多いのです。
定年後は自立して生きよう
現役サラリーマンにとって、
- 再雇用
- 再就職
- 起業
3つのうち、再雇用が簡単で、起業が難しいと、考えられているのが一般的です。
サラリーマンでは、仕事は、つらくて当然、甘いものではないと経験から学びます。
そのため、与えられる仕事、やらされ仕事しか、してこなかったのです。
著者の経験では、定年起業が、一番お気楽で楽しい働き方です。
この考えに共感するには、サラリーマン的な発想から、離れられるかどうかです。
著者は、60歳定年の後、再雇用で半年間働き、会社を辞めました。
定年後、会社に残って、宮仕えし、ストレスを抱えて過ごすぐらいなら、
自分のやりたい事をしようと思い、会社を辞めました。
その後、独立して、1人で起業して、仕事をしています。
サラリーマン時代は、仕事は苦行でしたが、
独立して自営になると仕事は、楽しみになりました。
起業して仕事が、楽しいと思える理由は、自分に決定権があるからです。
やらされる仕事ではなく、やりたい仕事ができるからです。
定年起業は、少しずつ時間をかけながら、人脈を広げ、
自分のやりたいことを、色々な人に知ってもらうことで、仕事の機会を、広げていけます。
人のつながりこそ、将来の収益につながる可能性が、あるのです。
自分のやりたいことを、愚直に続けて、自分の信念を貫いていくことが大切です。
また、定年起業のリスクは低く、仕事がなくても、
年金や退職金があることを考えると、食べていけなくなる心配はありません。
人も雇わない、借り入れも起こさない、
定年起業は、気楽で、ローリスクミドルリターンなのです。
不安も不満もない定年後の楽しい働き方です。
仕事のイメージを180度変える定年起業
定年後の仕事は、どうなるかわからない、という意味でのリスク(不確実性)はあります。
それは、仕事で、リスクを取れば良いのです。
年金はある、退職金はある、いくらかの蓄えもある。
だったら思い切って、自分の好きなことにチャレンジすればよいのです。
仕事で、リスクを取って失敗しても、
人を雇ったり、借金をしていなければ、問題ありません。
仕事がなくても、最低限、食べて行くことができます。
なぜなら、退職金や年金があるからです。
定年後に、独立して仕事をするのであれば、不満も不安もありません。
仕事でリスクを取らないのに、
退職金投資で、過大なリスクを取っている人が、思いのほか、多いいことに驚きです。
定年後の仕事のリスクは、投資のリスクに比べたら、遥かに小さいものです。
ただし、定年起業で、やってはいけないことがあります。
以下の3つです。
- 人に進められて何となく起業すること
- 起業にお金をかけ過ぎること
- 規模の拡大と借り入れをすること
起業するには、自分の覚悟を明確にしてから行動に移します。
何もキャッシュを生まない、事務所や会社のロゴに、費用をかけない。
仕事が順調だからというだけで、流れに任せて規模を拡大させない。
この事を守って仕事をすれば、何のリスクもありません。
60歳を過ぎたら貯金より貯人をするべき
お金を貯めることより、人とのつながりを、大切にすることです。
サラリーマンは、決まった給料しか支払われないので、
もっと欲しい、もっと貯めたいという、発想になります。
自営の場合、お金をもらうのではなく、自分の力で稼ぎます。
仕事は自分で取りに行かない限り、じっとしているだけでは、一銭も入ってきません。
ビジネスチャンスを広げる為に、必要なのは、貯人です。
人のつながりの多さで、決まります。
この発想は、サラリーマンにはありません。
貯人をするために必要なことは、信用を貯めることです。
商売では、多少なりともリスクを取っています。
信用できる相手に、仕事を依頼するのは、リスクを回避する意味で当然なことです。
著者が、サラリーマンを卒業して、一人で商売するようになって、
初めてわかったことは、信用が何よりも大切だと言うことです。
サラリーマン時代に、頭でわかっていたことですが、
実際に商売をして、これほど身に沁みる事は、ありませんでした。
信用を積み重ねることで、多くの人とつながりを持つことができます。
それは、お金を稼ぐビジネスに直結することなのです。
ギブファーストが信用を生み出します。
信用を蓄えるために、最も大切なことは、まず最初に相手に対して、
何かのメリットのある事をしてあげます。
ギブファーストの考えで接することです。
人とのつながりを作るために、自分の能力や、できる事を知ってもらいます。
儲ける前に、相手に自分を認めてもらうことが、大切なのです。
そうやって、何か相手の役に立つことで、
後に仕事の依頼が回ってきた経験を、たくさんしました。
定年後の生活において、無駄遣いしないように気をつけていますが、
人とのつながりや、付き合いに、お金を惜しむことはしません。
そのために貯金が減ったとしても、
貯人することで、それを補ってあまりある満足が得られるからです。
サラリーマン人生、50代に入って早く成仏しましょう
成仏とは、いつまでも会社人生にこだわらないで、気持ちを整理して、
新しい世界に踏み込むことです。
人生の目的は、会社で出世することではなく、幸せになることなのです。
サラリーマンの出世レースに勝負がつくのは、50歳前後、
気持ちを切り替え、次の人生に向かって準備を進めます。
定年後、20~30年という年数があることを思うと、
そこから新しくギヤチェンジして、次のステージに進むことは、いくらでも可能です。
著者は、50代で成仏しました。
会社では窓際部門へ、異動を命じられ、最初はショックでした。
本流部門ではなかったので、結果的には、自由に仕事ができました。
定年後起業して、仕事でお世話になっている人の中で、
その時の業務の人脈で、つながった人がたくさんいます。
いつまでも会社の地位や立場に固執することなく、早く成仏して捨て去るべきです。
今までたいした仕事なんかしてこなかった
サラリーマンを定年退職してつくづく思うことがあります。
結局サラリーマン時代は、組織に守られ、自分でリスクを取ることを、していませんでした。
著者は、定年後、自営をしており、会社員時代と比較にならないぐらい、
自営の方が楽しく仕事をしています。
ただし、緊張感とリスクは、はるかに大きいです。
起業して、肩書、経験、ノウハウは、役に立ちませんでした。
会社を離れて、一個人になると、自分の市場価値は、ほぼ無いのがわかりました。
今までの立場や地位は、定年退職と同時に消え失せてしまいます。
自分が意識するほど、他人は自分のことを、見ていません。
退職すれば、縁もゆかりもなくなり、
よほどの優秀か、人脈でも無い限り、声を掛けてもらえません。
完全に、忘れられた存在に、なってしまいます。
会社を定年退職したあとは、過去に生きるのではなく、未来に生きるべきという事です。
人生100年時代! 定年60歳は、残り40年の折り返し地点
人生100年時代、平均寿命は、男女とも、毎年0.19歳ずつ伸びています。
同じ年に生まれた人が50%生存している指標で、寿命中位数があります。
寿命中位数の過去20年間の平均は、
男性3.04歳、女性2.82歳が、
平均寿命にプラスされた年数になります。
現実に100歳近くまで長生きできる人が、一定の割合でいるという現実感が出できます。
100歳まで生きるとして、60歳定年から、あと40年間、
どうやって楽しく、好きな生き方をするか、ゆっくり考えて良いという発想になります。
定年後の夫婦
異論!定年後の夫婦のあり方
違和感のある男性目線の定年夫婦像が、世の中に広まっている
ライフプランセミナーや、マスコミの論調は、
紋切り型で、終始、べき論であり、高齢男性の、上から目線を感じます。
以下のすべし論を耳にします。
- 定年後は、奥さんを大切にして良好なコミュニケーションをすべし。
- 夫婦で旅行に行ったり、共通の趣味を持ったりすべし
- 家にいると奥さんに嫌がれるので、外に出て活動すべし
- 地域活動や、付き合いを大切にすべし
夫婦のあり方は、長年培ったそれぞれのパターンがあり、
コミュニケーションには、意識的な訓練が必要です。
夫婦どちらかが、良かれと思って、独断で物事を決めてしまうことがないようにしましょう。
夫婦間の思いは、以心伝心では通じない。
定年後は、夫婦のコミュニケーションは欠かすことはできません。
定年後には、それまでと、生活パターンが変わり、
お互い新たな経験をすることになるので、コミュニケーションを必要とする場面が増えます。
妻の世界を尊重する
夫は、会社という居場所があった会社人間でした。
妻は、自分の居場所、世界を作り上げてきている。
子供が小さいうちは、ママ友、趣味の教育に通えばそこででできる教室、
地域の自治会で知り合った友人、その他、交友範囲はとても広い。
妻は、ヨコのコミュニケーション能力が優れているので、
自分の居心地の良い交友関係をたくさん作れます。
夫は、会社のタテの人間関係しか持っていないので、コミュニケーション力に差があります。
夫は自分のペースで勝手に考えるのではなく、話し合うことが大切です。
妻に構ってあげようなどと思う必要などなく、尊重することです。
夫婦共通の趣味なんて無くてもいい【3/5】
定年後は、夫婦で楽しめる共通の趣味を持ちなさいと言われますが、
共通の趣味は、それほど単純ではありません。
共通の趣味を始めると、
夫婦間で、教え、教えられることで、新たなストレスと摩擦を生み出します。
共通の趣味なんて無くてもいいのです。
互いが好きなことをやり、それについては、
お互いに干渉しないと決めておくのが一番心地よいのです。
妻は、夫との意識のズレがあることに気づき、不満が表面化します。
どうして私の気持ちに、共感してくれないのか、理解できません。
男性は、女性の共感するコミュニケーションの取り方が、あることを知る必要があります。
女性は女性で、男性のビジネス社会で使う思考プロセスで、
物事を考えてることを知ってもらうようにします。
名もなき家事こそ大切
家事を手伝う夫は増えているというが・・
料理、洗濯、掃除など、ちゃんと名前がついているもの以外に、
日常のちょっと手間のかかる作業のことを、名もなき家事というものがあります。
ゴミ袋のセット、脱ぎっぱなしの服の片付け、トイレのタオルの取替、調味料の補充など、
これら項目の事を、名もなき家事の具体的なものです。
名もなき家事は、妻が黙ってやっているため、
その事に気づいていない夫に、妻は不満を感じています。
無理して料理を作ろうとするより、食後の食器洗いと片付けをやってくれる方が、
奥さんとしては、ありがたいと思っています。
夫婦それぞれに、夫自身がどれぐらい家事をしているかのアンケートをすると、
夫は3割ぐらいやっていると感じているのに、
妻は、1割程度しか感じていないと、ギャップがあります。
家事の協力で、
夫の言い分は、洗濯や掃除をしても文句ばかり言われる。
妻の言い分、掃除や洗濯物片付けでは、
夫が自分で勝手に判断して、いつもと違う場所に、収めてしまう。
妻からすれば、かえって仕事が増えてしまい、
良かれと思ってやったことで、反発を招いてしまいます。
気持ちのすれ違いが起きてしまわないよう、互いの意思を、しっかり伝え合うことが大切です。
慣れない夫による家事のトラブル
定年後、料理を作り始める定年料理男子が増えていようです。
その事に対して、妻の言い分は、
料理にやたらとお金をかけるし、後片付けもしない、ということです。
料理の位置づけが、夫と妻では、異なるのが原因です。
夫にとって、料理は趣味であり創作活動です。
美味しいものを自分の腕で作りたくなります。
妻にとっての料理は、日々の業務であり、仕事です。
効率とコスパが優先されます。
片付けも業務の一部、そこまで終わらせないと業務は完了しません。
夫が担うべきは、家事なのです。
創作活動であれば、材料費は、家計からではなく、
自分のポケットマネーから出すべきと考えたほうが良いです。
あり余る時間の過ごし方
無理して趣味を持つ必要はない【4/5】
定年後の三大趣味として、陶芸、油絵、山歩き、があります。
これらの趣味を始めても、多くの人は、たいがい、途中でやらなくなってしまいます。
趣味を始めて失敗するパターン
- 人からやれと言われて始める
- 定年前後から急に始める
何も趣味がないのであれば、無理して始める必要はありません。
お金と時間の無駄になります。
興味のあることならとりあえずやってみる。
やってみないことには、面白いかどうか、わかりません。
ダメならさっさとやめれば良いのです。
著者が、先輩シニアから学んだ、趣味の始め方
歳を取ってから、年下の若い先生について、きちんと習い事をする意味を考えさせられた、
先輩シニアが始めた趣味の話です。
60歳を越えた年齢になると、自分が、知らず知らずのうちに独善的になって、
人の意見も聞かなくなった自分に気づきます。
だからこそ、手も足も出ない楽器の趣味を、若い先生から学ぼうと思ったとのこと。
趣味は、元々、好きでやっていたとか、前から興味があったことを、
定年で始めるのだと普通は思いますが、
年齢的に、独善に陥るのを防ぐために、わざと自分とは縁遠い趣味を始める、
という発想は、新鮮に感じました。
下手くそでも、カッコ悪くても、気にすることはありません。
これまでの人生で、やらなかったことに挑戦すること、躊躇せずやることは、素晴らしいのです。
考え方の転換をして、自分でやってみる
定年後の生活パターンは、現役時代と大きく変わるのが普通です。
時間を、お金で買う生活をしていた。
時間で、お金を買う発想に変える。
つまり、余る時間を消費することで、お金の無駄な支出をなくすことができる
そのような生活スタイルに変えていきます。
現役時代、サラリーマンは常に効率を求められてきました。
仕事でも収益でも全て効率を優先してきました。
現役時代同様に、
お金を払うことで、面倒な事を解決する生活スタイルを続けると、出費が多くなります。
少々時間がかかっても、何でも自分でやってみると、わかったことは生活コストが下がることです。
会社人を卒業して、一般人になった定年後からは、何でも自分でやってみるクセをつけてみます。
自分でやると意外な情報源の発見がありました。
住んでいる自治体の発行している、市政ニュース、行政サービスの情報です。
実に様々なサービスを知りました。
- 予防接種を無料で受けられる
- 司法書士や税理士さんの相談を無料でできる
- 文化教室の催しを低価格で受けられる
- イベントの参加案内
行政のサービスは、コストがかかっているのに、低価格や無料で提供されています。
この原資は、住民税をもとにしています。
サラリーマンは、税金が源泉徴収で引かれていて、
所得税と住民税の割合について、関心がありません。
住民税は結構な金額を負担しています。
定年退職後に納付請求がきて驚き、いかに多くの税金を負担してきたかに気づきます。
それなら行政サービスは、使い倒さないと損だと思いました。
■趣味の取っ掛かりとして、
行政サービスが、提供している催し案内から、参加してみるのも良いと思います。
地域・社会との関わり
地域コミュニティとは付き合わなくて良い【5/5】
地域コミュニティは伏魔殿
地域との付き合いは、安易に考えてはいけません。
地域コミュニティは、壮大なヨコ社会です。
サラリーマンの大きなタテ社会と構造が違います。
前の組織の感覚で、コミニュティに入っていくと大変です。
■著者が経験した怒号の飛び交う自治会。
住宅地内施設の閉鎖に関する意見交換の場で、些細な相異から意見が対立、
しまいには、怒号が飛び交って、自治会長も呆然となり、収集がつかなくなりました。
これがタテ社会の会社であれば、議論が紛糾しても、
収益を上げる共通の目的に基づき、管理職がジャッジして収まります。
地域の自治会は極めてフラットなヨコ社会で、上下関係はありません。
微妙なバランスで成り立っていることを知っておくべきです。
■ヒエラルキーと暗黙知が支配する地域社会
住宅地のコミュニティは、異なる出身地、いろいろな職業の人達で構成され、
さまざまな摩擦を乗り越えて、共存するルールが出来上がっています。
そのルールは暗黙知で、そのコミュニティに入り込んで、
あっちこっちと頭をぶつけながら会得するような面倒な代物です。
地域コミュニティで、下手に摩擦を起こすと、
逃げ場がなく、かなり居心地が悪い思いをすることになります。
安易に、地域コミュニティに入る必要はありません。
困ったマウンティングおやじたち
人間関係において、自分の方が優位だとアピールする言動を、マウンティングといいます。
かつての部下は、飲み会に誘われても断らず、
ウンチクに付き合い、仕事の手柄話に頷いてくれました。
なぜなら会社の上司だったからです。
そんな調子で地域にデビューしたら、いったいどうなるでしょう。
考えただけでもおぞましい光景が待っています。
地域コミュニティは、甘くありません。
慎重になったほうが良いといった理由は、定年退職したシニア、
特に大手で管理職だった人は、謙虚に振る舞うことができません。
地域活動では、主婦が主力メンバーです。
様々な職種やバックグラウンドをもった人々がいて、さらに長老のような存在もいます。
マウンティングおやじの参入は、バランスの上に成り立ってきた中東地域に、
突然武装した米軍がやってきて、傍若無人に振る舞うようなものです。
たちまち嫌がられ、強い抵抗に会うことは目に見えています。
定年後に、タテ社会からヨコ社会に移って、
一個人になると、自分の優位性がなくなってしまう寂しさから、自己アピールしたくなります。
定年退職者は、会社ではずっと、ホームで戦ってきました。
地域コミュニティでは、自分はアウェイと自覚する必要があります。
地域に認められるには、一にも二にも謙虚であることです。
何をするにしても、雑巾がけから、始めるのだという、心づもりでないと駄目です。
女性会社員の定年地域デビューはもっと危険
専業主婦が感じる、上から目線の、働いてきた女性たち。
自分は、子育てしながら働いて、頑張ってきた自負があります。
専業主婦には、それを、ちょっと上から目線と感じ取ります。
おじさんなら、そんなもんと思っているから気にしないけど、
同性の女性から、おじさんと同様な対応されると、気分が悪いと感じます。
男性に限らず、女性の定年退職組も、謙虚に腰を低くして行くことが大切です。
ボランティアの取り組みは人さまざま
定年後もお金を稼ぐ意味での仕事をしないのであれば、誰かの役に立つボランティア活動は有効です。
人が一番生きがいを感じるのは、
自分のやっていることが確実に誰かの役に立っていると実感できることです。
小学校の見守りでは、担当エリアから通う150名ほどの小学生全員の顔と名前を覚え、
登下校の安全を見守る活動を、認知症予防しながら活躍されている例などがあります。
著者の知人が、3.11の震災の後、しばらくして、
無償の福島日帰り買い物バスツアーを企画しました。
現地に行って、地元の農産物やお酒、お菓子などを買って、
ぜひ他の人にも広めてほしいとの趣旨です。
福島の人に手伝える事を聞くと、
東京から大勢の人が、買い物や遊びに来てほしいと言われたことが、企画のきっかけです。
災害援助ボランティアでは、自分のやりたいことしかやらないボランティアが見受けられました。
現地に出向いての労働奉仕より、
消費でたくさんのお金を使ってもらうことが、支援になる事を理解し行動に移しました。
自分目線のボランティアではなく、相手目線で望むことに気づくことです。
自分の住む地域でも、ボランティアする場合、どういうことに困っているか、
何を手伝うと、本当に役立つのか話し合いながら行動することが、大切と思います。
■「定年退職後は、可能であれば再就職したいけど、一旦お休みしたい」とお考えであれば・・
まとめ
定年後は何をやろうが自由です
家でゴロゴロしていて何が悪い!
絶対に働かなければならないわけでなく、趣味を持たなければならないわけでもありません。
家族としての応分の負担を負っていれば、定年後のライフスタイルは何でも構いません。
夫が定年になっても、妻が働いているケースも珍しくありません。
専業主夫になる選択もあります。
料理でも、洗濯でも、掃除でも、何でもいいので、妻の負担を減らすようにします。
自分が家にいることで、家族の負担がかからないように自立します。
ついに僕は自由を手に入れた
サラリーマンは、会社に自分の自由を売り渡すかわりに、身分の安定を得る仕事です。
会社の仕事は、多少の不満があるのが当たり前と思っています。
著者にとってサラリーマン生活は、いわば懲役38年間でした。
物理的にも、時間と身体を拘束される働き方です。
仕事の多寡に関わらず、毎日出社しなければならず、
暇なときでも、さっさと家に帰るわけにいきません。
サラリーマンは、何もしなくても、仕事は上から与えられますが、
命じられた仕事は、よほどのことが無い限り、断ることができません。
自営で働くのであれば、仕事の量と質を自分でコントロールできます。
何もしなければ、仕事はやって来ません。
著者も、自営で仕事を始めた当初、最初の1~2年間は、仕事らしい仕事はありませんでした。
自分の趣旨に合わない仕事は、いくらでもお断りしています。
特に、定年後は、もし仕事を断っても、そのときは、年金で生活していけば良いと思えます。
そんな贅沢ができるのも定年後の働き方として自由に働くことを選んだからです。
趣味でも、勉強でも、ボランティアでも好きなことをすればよいのです。
働き方だけではなく、生き方も自由なのです。
多くの企業で60歳定年と定められており、そこが一つの区切りになっているのが、事実です。
定年を迎えて、ついに自由を手に入れたと、
自分の好きなこと、やりたいことを楽しみながら探していけば良いのです。
定年後は、心の満足を得られることを求めましょう。
“ししとう”感想
世間の定年に関するアドバイスを見聞きしていると、
定年を迎えることに対して憂鬱で心配な気持ちになってしまいます。
著者の経験から、定年後の生活は、お金にしても仕事にしても、さほど心配する必要なく、むしろ不安に、煽られて間違った行動を起こす方が、よほど危険であることを、理解し納得しました。。
“ししとう”は、現在、定年後の生活を始めている最中ですが、
過剰に不安になる必要はなさそうだということを、まさに体感し始めています。
今は、これから20年から30年の長期スパンで自分なりに、
どのように生きていくかを考える、大切な時間を過ごしています。
先に歩んでいる先輩シニアの経験に基づく生き方は、自分に勇気と自信を与えてくれます。
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