高年齢求職者給付金はいくらもらえる?65歳以降も働く人をサポートする失業保険です

65歳以降も、働き続ける選択をする人が増えてきました。

以下の働く環境変化の背景があります。

・60歳から65歳へ定年延長
・60歳定年後も同じ会社で再雇用
・60歳定年後、別の会社へ再就職

いずれにしても、年を重ねて、体力気力がある限り、働き続ける人が増えてきます。

ふつう、現役世代の人が、会社へ転職する際、
失業手当を受けながら、求職活動をするという社会保障を利用できます。

但し失業手当は、65歳までを区切りとした制度です。

65歳を過ぎてなお、働き続ける人の仕組みではありません。

失業手当と同様な社会保障制度が、働く意欲のあるシニア向けに求められます。

65歳以上の人が、再就職を目指す為の社会制度の仕組みが高年齢求職者給付金です。

ここでは、その高年齢求職者給付金について説明していきます。

このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線でお伝えします。

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高年齢求職者給付金は時代が必要とした制度です

「人生100年時代」に突入して、60歳以降も、働き続けることが現実になって来ています。
年金受給開始が、65歳へ後ろ倒しになり、再雇用や再就職を目指す人が増えました。

特に再雇用を選択される場合、65歳まで同じ企業で働き続けます。

そのあとは、一旦、区切りを付けられる人と、

まだまだ働き続けられる、
自分の経験知を他の新しい分野で生かしたい、

様々な思いや事情で再就職を目指す人も出てきます。

高年齢求職者給付金は、65歳以降も、引き続き働くことを選択する人に支給され、
次の職場を目指す限り、年齢や回数の制限なく、受給でき、
求職活動のモチベーションを高めることができます。

高年齢求職者給付金は、
そのような人のチャレンジを後押しのために、2017年の法改正でできた比較的新しい制度になります。

高年齢求職者給付金の概要

高年齢求職者給付金を利用する際の、条件や注意点などについて説明いたします。

高年齢求職者給付金の受給資格について

高年齢者求職者給付金の受給に必要な条件は3つあります。

・退職時に雇用保険の高年齢被保険者であったこと
・退職の日以前の1年間で、雇用保険加入期間が合計6ヶ月以上あること
・退職後「失業の状態」にあること

高年齢被保険者とは、

65歳以上に達した雇用保険被保険者の事です。
以前から雇用保険に加入しており、65歳以降も同様に雇用をされていた場合は、自動的に「一般被保険者」から「高年齢被保険者」に切り替わっています。

失業状態とは、

求職活動をしているが、就職できない状態、働く意欲と能力があり、求職活動中で、まだ次の就職先が見つかっていない状態を指します。

高年齢求職者給付金の支給が受けられないケース

・家事に専念する方
・自営を開始、または自営準備に専念する方
・次の就職が決まっている方
・アルバイトの働き方を希望する方
・会社の役員に就任している方(就任の予定や名義だけの役員も含む)
・同一事業所で就職、離職を繰り返しており、再び同一事業所に就職の予定がある方

年金との併給について

65歳の誕生日前日以前の離職であれば、失業手当の受給をうけられます。

但し、65歳までの年金との併給は、支給停止の制限を受けます。

65歳の誕生日以降の離職は、高年齢求職者給付金の受給手続きになります。
そして、高年齢求職者給付金は年金と併給が可能です。

高年齢求職者給付金の支給金額の算出方法

高年齢求職者給付金の支給金額を算出します。

ここでは、高年齢求職者給付金の計算に必要な項目をひとつずつ整理して計算の手順を説明いたします。

▮必要な数値

①賃金日額   ・・退職前の1日当たりの賃金
②給付率    ・・下記の表「基本手当日額計算方法」の確認
③基本手当日額 ・・①賃金日額 × ➁給付率
④支給日数   ・・働いていた期間で判定

▮高年齢求職者給付金の受給額の計算

高年齢求職者給付金の受給額 = ③基本手当日額 × ④支給日数

「賃金日額」の出し方

「基本手当日額」を求めるには、まず「賃金日額」を計算します。

賃金日額 = 退職前6か月の賃金合計 ÷ 180

ここでいう「賃金」とは基本給のほかに各種諸手当も含めた総支給額となります。

ただし、ボーナスや退職金など、臨時の一時金は含みません。

「基本手当日額」の出し方

65歳以上の高年齢被保険者の「基本手当日額」は、
雇用保険制度で失業手当を支給する際の表を用いて計算します。

下記表の「離職時の年齢が29歳以下」の方と同じ条件が採用され、
給付率・上限額が定められています。

基本手当日額計算方法(離職時の年齢が65歳以上)

賃金日額(w円)給付率基本手当日額(y円)
2754円以上5030円未満80%2059円~4023円
5030円以上12390円以下80%~50%4024円~6195円(※別途式)
12390円超13700円以下50%6195円~6850
13700円(上限額)超6850円(上限額)

③基本手当日額(y) = ①賃金日額(w) × ➁給付率

別途の③基本手当日額計算式
【w】賃金日額 5030円以上12390円以下の時の計算式
【y】③基本手当日額の算出
 ③y=0.8w-0.3{(w-5030)/7360}w

支給日数

高年齢求職者給付金の「支給日数」を確認します。

支給日数は、働いていた期間、雇用保険の被保険者であった期間に応じて、
30日分か、50日分のいずれかになります。

被保険者であった期間 1年未満1年以上
高年齢求職者給付金の額30日分50日分
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実際の数字を入れて試算します

“ししとう”が、60歳定年後、同じ会社に雇用継続して、65歳で退職したと仮定します。

再雇用を提案された打診時の22万で試算します。

▮事例 “ししとう” 60歳定年退職、同じ職場に継続雇用で働き、65歳で退職

・退職時の年齢:65歳
・雇用保険の被保険者期間:1年以上
・退職前の月給:220,000円(諸手当含む・賞与は含めず)

▮必要数値の計算式

①賃金日額     7333円 (=220,000×6÷180 ※1円未満は切り捨て)
②給付率     別途式  (①の賃金日額が5030 円以上 12390 円以下の場合)
③基本手当日額  5177円 (y=0.8w-0.3{(w-5030)/7360}w)・・yは③、wは①
④支給日数    50日   (雇用保険の被保険者期間が1年以上のため)

受給金額は、③基本手当日額 × ④支給日数

▮試算結果

受給金額は 258,850円  ③基本手当日額 5177円  ×  ④支給日数 50日

258,850円を一括で支給されます。

ご自分の条件でシミュレーションしたい場合は、下記サイトでも試算できます。

高年齢求職者給付金の計算サイト
(雇用保険の給付額(失業給付金)で計算する)

離職前6ヶ月間の賃金総額・・ 月賃金×6か月
離職時の年齢 ・・65歳以上
被保険者期間 ・・1年以上5年未満
基本手当日額と高年齢求職者給付金の支給総額が算出されます

高年齢求職者給付金の申請に必要な書類

必要書類を持参して、ハローワークへ行き申請手続きをします。

・ 離職票1と離職票2
・ 本人名義の預金通帳
・ マイナンバーカード

※マイナンバーカードでない場合は①および②を持参
①個人番号確認書類(いずれか1種類)
通知カード、または、個人番号の記載のある住民票
②身元確認書類:運転免許証、運転経歴証明書、官公庁発行の身分証明書・資格証明書(写真付き)

高年齢求職者給付金の受給期限は、離職の日から1年です

高年齢求職者給付金の受給期限の1年を過ぎてしまう説明図

離職したら、まずハローワークへ早めに行き、
失業の認定を受けないと、1年間の受給期限の日数を減じられていきます。

1年間の期日までがあと何日残っているか、
給付の支給日数を下回る場合には、残りの日数分は支給されないことになります。

待機期間や給付制限期間の期間も、受給期限の1年間の中にカウントされるので、
ゆっくりせず、給付金申請は早めに行いましょう。

高年齢求職者給付金と名前がよく似た給付金の違いを説明

高年齢求職者給付金のほか名前が似ている給付制度が、全部で3つあります。

①高年齢雇用継続基本給付金・・・60歳定年後に同じ職場で働く際の給付金
➁高年齢再就職給付金・・・・・・60歳定年後に別の会社に再就職した際の給付金
③高年齢求職者給付金・・・・・・65歳以降に退職した人向けの給付金

それらの違いがわかるように一覧表にしました。

①高年齢雇用継続基本給付金②高年齢再就職給付金③高年齢求職者給付金
概要・60歳定年後
・同じ会社で継続雇用する
60歳時の賃金と比較して減額分の一部を補填する
・60歳定年後
・失業手当受給して再就職する
・60歳時の賃金と比較して減額分の一部を毎月補填する
・65歳以降に退職した人
・次の就職先を探す為の支援として給付する手当
同様の趣旨の失業手当は、65歳未満
対象年齢60歳~65歳60歳~65歳65歳以上
給付金の条件・賃金が60歳時に対して75%以下
・賃金の最大15%支給(計算式による)
・賃金が前職に対して75%以下
・賃金の最大15%支給(計算式による)
・再就職手当を受け取っていない事
・雇用保険の加入期間1年以上は、基本日額50日分
・6か月以上1年未満は、基本日額30日分
・基本日額の計算は29歳未満の条件と同じ
支給期間65歳になるまで就職先入社日の失業手当残日数で決まる
・残日数が100日以上200日未満は、1年間支給
・残日数200日以上は2年間支給
・受給中に65歳になると支給停止
65歳以上であれば何歳でも
何回でも支給可能

名前が似ていても、支給の対象者や内容が、大きく異なります。

制度を利用する私たちから見ると、何れかを選択したら、
他方は選択しないか、関連が薄いものになります。

但し、どれも高年齢という同じ名称がついています。

ご自身の歩む道に関係があるか、その先の道にある選択になるか、中身を見て確認してみてください。

まとめ

「人生100年時代」に突入し、60歳以降も、働き続けることが現実になって来ています。
年金受給開始が、65歳へ後ろ倒しになり、再雇用や再就職を目指す人が増えました。

様々な思いや事情で再就職を目指す人も出てきます。
高年齢求職者給付金は、そのような人のチャレンジを後押しをする制度です。

65歳以降も次の職場へ自分の道を進める人

65歳以降に退職した人が、次の就職先を探す支援として給付を受けることができます。

支給金額は、前職の賃金実績により決まります。

・雇用保険の加入期間1年以上で、基本手当日額50日分が支給されます。
   約10万円~最大約34万円まで

・6か月以上1年未満で、 基本手当日額30日分が支給されます。
   約6万円~最大約20万円まで

65歳以上であれば何歳でも何回でも支給可能です。

高年齢求職者給付金は、
「まだまだ働き続けたい」「年金以外の収入も増やしたい」などの理由で、再就職を目指す人向けの制度です。

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