高年齢再就職給付金 !60歳定年退職者が当事者目線でわかりやすく解説【図表説明あり】

幸せに働くシニア

「高年齢再就職給付金」は、失業手当を受給して、再就職した人が、
前職場より賃金が、低下したら給付金が支給される制度です。

一方採用した企業側も、入社後、給付金の手続きに継続的に関与することで、
採用した人の、前職でのバックグランドや潜在能力を知る切っ掛けになります。

このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線でお伝えします。

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高年齢再就職給付金の意義

60歳定年退職者の職探しと会社経営者の新規採用の厳しい現実

60歳定年退職者にとって、年金受給が65歳開始に引き上げられたことは、
60歳から65歳までの間、生活の自立を考えなければならない事を意味します。

定年後も、働く必要に迫られる人も出てきます。

一方、企業は人材不足に悩んでおり、若年層の新規採用が難しいです。

出生率が減り、若い労働者の人口は減っています。

社会経験を積んだシニアが、次の職場を求めて、さまよう一方、
企業は、60歳以上のシニア層を、あまり意識を向けていません。

この高年齢再就職給付金を利用した、シニア求職者の採用をきっかけに、
60歳以上の人材採用も、ひとつの選択肢と考える企業が、増える事につながります。

高年齢再就職給付金の対象者

高年齢再就職給付金の給付の仕組みと位置づけ説明図

・ハローワークで、失業手当の給付を受けている
・60歳以上65歳未満で会社に再就職し社会保険に加入している。
・再就職先の賃金が、退職前の60歳時点と比較して、75%未満となっている事
・失業手当の支給残日数が、100日以上である事。(入社の前日まで)


給付金の額は、再就職先の賃金の原則15%です。
但し賃金の対価率によって15%を上限にして、支給率が変動します。

支給残日数が100日以上、支給期間は1年間です。
支給残日数が200日以上の時は、支給期間は2年間です。

一般的な60歳定年退職者の失業手当の支給期間は、
長期間(20年以上)働いて、150日です。

支給残日数を、100日以上残すには、失業手当の認定を受けてから、
50日以内で、再就職することが、求職活動の目標になります。

それにより、
高年齢再就職給付金を1年間、受けとる事ができます。

60歳定年退職者が、高年齢再就職給付金の支給期間を2年間にできる?
条件・・失業手当の支給残日数が、200日以上であること。

支給残日数を200日以上にするためには、
失業手当の給付日数は、求職活動の期間も加えて、
200日を遥かに超える日数の給付を受ける必要があります。

失業手当の給付日数が、200日を超える日数の給付を受ける為には
下記の条件が考えられます。

・特定受給資格者・・会社都合による解雇や倒産
・特定理由離職者1・・本人の働く意志にかかわらず雇用を打ち切られた時

上記の条件になって、一般的に、給付日数は、240日給付されます。
様々な事情で、本人の意思に反して、会社を去らなければならなかった時に、
はじめて、240日の給付を受け取ることができるようです。

高年齢再就職給付金の計算を解説

高年齢再就職給付金の給付額の給付の説明図

支給残日数が100日以上を条件に支給期間は1年間です。

給付金計算の考え方

▼賃金低下率が61%以下の場合

60歳以降の毎月の賃金 × 一定の支給率(15%)

▼賃金低下率が61%より大きく75%未満の場合

60歳以降の毎月の賃金 × 変動する支給率(15%〜0.01%)

賃金の低下率・・ 60歳時の実績と再就職の賃金との比較
給付額   ・・ 月額賃金 × 支給率
支給率   ・・  ▽

・賃金の低下率が61%までは、15%です。
・賃金の低下率が61%以上~75%未満は、支給率は15%から徐々に小さくなる。
・賃金の低下率は75%で、支給が無くなる。
・36万円以上の賃金には、補填が無い。

賃金の低下率は、6割以下であれば、
支給される金額は、2万円前後から3万円台までの方が多いと思います。

実際例の条件で試算してみる

高年齢再就職給付金の支給額試算テーブル図

~“ししとう”~

・勤続年数 37年
・失業手当の給付期間 150日
・待期期間 7日
・給付制限期間 無し (定年退職時)
・前職の月給(賃金月額) 406,860円
・賃金月額の75%(支給限度額) 305,145円
・再就職先の月給(参考値) 220,000円 (会社から提示された継続雇用の場合の給与)

▮高年齢再就職給付金の推定支給額

・60歳前職の月給 406,860円
・再就職先の月給  220,000円 
・60歳からの賃金低下率 54.1% ≦  61% → 支給率 15%
・給付額 33,000円 = 月給 220,000円 × 15%

33,000円(毎月) × 12回 (1年間) = 396,000円

毎月の支給額は、実際の賃金実績に基づき、支給されます。

※参考 高年齢再就職給付金の計算サイト
以下の数値をご用意ください。
60歳到達時の賃金・・406,860円
60歳以降の賃金 ・・220,000円

60歳時の賃金月額と再就職時の給与の参考値入手

令和4年9月末に、“ししとう”は、六十歳到達時等賃金証明書の控えを持っていました。

定年後に、会社に残り継続雇用するか、退職するかの意思確認をする前に、
人事部がハローワークに申請をしていました。

次年度から、高年齢雇用継続基本給付金を継続雇用制度の給与補填として取り込むために、
対象者の申請を行っていたと思います。

その情報で、“ししとう”の賃金月額は、406,860円と把握しています。
また、令和4年12月に、定年後に継続雇用した場合の給与として、
220,000円と会社から提示されてました。

これを再就職先の給与の参考値にしました。

ちなみに、賃金の低下率は、54%です。
これらの数字を知ったことで、60歳以降のリアル感のある想像ができるようになりました。

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高年齢再就職給付金の申請手続き

高年齢再就職給付金の支給手続き、全体の流れ説明図

高年齢再就職給付金の支給を受けるためには、

・雇用保険被保険者資格取得届の提出
・高年齢雇用継続給付受給資格確認票の提出

初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から4か月以内に申請をします。

その後、2か月に一度、ハローワークから指定された月に支給申請書を提出する必要があります。

提出期限を過ぎると原則、支給が受けられなくなります。

高年齢雇用継続給付受給資格確認票の提出書類は、
「高年齢雇用継続給付受給資格確認票・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書」の様式を使用します。

▮詳細の申請手続き

No.申請内容 本人再就職先ハローワーク申請処理結果
1受給資格確認高年齢雇用継続給付受給資格確認票 ・(初回)高年齢雇用継続給付支給申請書を会社に提出雇用保険被保険者資格取得届を合わせてハローワークへ提出受理審査 ⇩
2受給資格承認本人へ手渡し郵送受領高年齢雇用継続給付受給資格確認通知 書と支給申請書交付受給資格確認と支給申請書交付
3支給申請書に記入と提出支給申請書を会社に提出申請内容を証明する、賃金台帳、労働者名簿、出勤簿など、本人証明(免許コピー等)受理審査 ⇩
4支給決定通知本人へ手渡し郵送受領支給決定通知書
(次回分)支給申請書交付
支給決定通知と
(次回分)支給申請書の交付
5入金確認本人へ入金支給(口座振り込み)
次回
申請
2か月毎に
3~5と同じ
処理
2か月毎に
3~5と同じ
処理

2か月毎に
3~5と同じ
処理

2か月毎に
3~5と同じ
処理

2か月毎に
3~5と同じ
処理

会社に2ケ月毎のハローワークへ申請手続きのお願いをする

経営者や上司に、1年間、6回にわたり、期日のある業務をお願いすることになります。

実際に手続き処理をされる方への気遣いも、忘れないようにしましょう。

2か月毎の事務手続きの度に、職場の人と話ができ、どのように感じているか知る機会になります。

自分が気付いていない当たり前の知識や経験が、
新しい職場の方にとっては、新鮮な見え方をしているかもしれません。

やっぱり、〇〇さんが、うちに来て助かりました。と率直な感想など聞けるかもしれません。

▮事前の注意点

・再就職手当と高年齢再就職給付金との合わせた給付はできません。
 どちらか一方を選択するようになります。
・65歳に達した場合は、期間の残りがあっても65歳に達した月までの給付になります。
・就職活動時に高年齢再就職給付金の申請をする事を会社に伝えましょう。

採用面接の最終段階で、高年齢再就職給付金の申請を考えていること、
2か月毎に、ハローワークに申請手続きの事務処理がある事を伝えましょう。

まとめ

高年齢再就職給付金は、前職場と再就職企業との給与差の一部を補填する支援策です。

今回、高年齢再就職給付金の内容を紐解いて、
定年退職後の再就職を想定した支援内容を説明しました。

60歳定年退職者にとって、年金受給が65歳開始に引き上げられたことで、
年金受給までの間、生活の自立を考えなければなりません。

前職場と同様とまでいかなくても、ある程度の収入を期待して働く必要に迫られます。

60歳定年退職者が、再就職した場合、
前職の給与より、大きく減ることが考えられます。

高年齢再就職給付金は、再就職した会社の給与の原則、15%分を補填してくれます。

これにより、給与落差のダメージを軽減していきます。

支給期間の1年間に、60歳以降の生活スタイルへダウンサイジングしていきましょう。

主な条件

・ハローワークで、失業手当の給付を受けている。
・再就職先の賃金が、退職前の60歳時点と比較して、75%未満となっている事
・失業手当の支給残日数が、100日以上である事。(入社の前日まで)

高年齢再就職給付金の申請は、
給与実績に応じて支給金額が決定されるので、2か月毎にハローワークに申請します。

給与の根拠となった、賃金台帳、労働者名簿や出勤簿が必要になるため、
勤務先の会社が申請書を作成し提出します。

会社に対して、1年間給付の場合、6回にわたり、期日のある申請業務をお願いすることになります。

経営者や上司、業務をされる方に、自分の為に動いていただくことになります。

お願いするのは、面倒と感じてしまうかもしれません。

但し、考え方によっては、経営者や上司と
コミュニケーションをするチャンスととらえることもできます。

申請の度に、自然に話しをすることができ、自分を知ってもらうことにつながります。

次第に、職場になじみ、仕事の実績を積んでくると、
採用時には意識していなかった意外な能力や経験により、
得意分野の仕事を任される事も期待できます。

60歳定年退職者の人材採用

この高年齢再就職給付金を利用する、シニア求職者の採用をきっかけに、
60歳定年退職者の人材採用も、ひとつの選択肢と意識する企業が、増える事を期待したいです。

後に続く、シニア求職者の職場の選択肢が、増えることにつながればと思います。

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