「定年ひとり起業」を読んで、参考になった内容を元に
“ししとう”に置き換えて理解したものを、紹介します。
著者の紹介
フリーの研修講師、経営コンサルタントの大杉潤さん、
日本興業銀行に22年間勤務後、複数の企業に転職し、57歳で、早期退職し独立されました。
会社員時代は、楽しく仕事ができませんでした。
仕事に対する評価が、理不尽で納得できない経験をしたからです。
その後、定年後のひとり起業によって、仕事観、労働観を、一変させました。
働くことの真のよろこびは、自己決定感を持つことで決まること、に気づきます。
年金プラスアルファの小さい目標から、リスクのないひとり起業で始めていく考え方を紹介します。
このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線でお伝えします。
定年ひとり起業を提案する背景について
人生100年時代を迎えて、定年後は、30年以上生きる人が多くなりました。
定年後の長い人生に大きな不安を感じています。
定年後の3大不安として
お金、孤独、健康の3K不安があります。
この不安を、解決しなければ、長い人生を楽しく生きることはできません。
特にお金の不安は、老後資金2000万円不足問題に象徴されます。
60歳以降も仕事を継続し、収入を維持して働きたいと考える人がほとんどです。
働くにしても、会社員のような、雇われる働き方ではなく、
自らのペースで働くような形が良いと考えました。
そのような働き方であれば、85歳ぐらいまで現役が理想と思います。
定年後の幸せな人生をおくる道筋とノウハウを紹介したいと思います。
定年ひとり起業の提案
定年ひとり起業は、雇われる働き方ではなく、自ら仕事を作って稼ぎ続ける働き方です。
▮定年ひとり起業
・好きな事
・得意な事
・世の中の役に立つこと
・収入が得られる事
これらの条件が重なる領域で楽しんで仕事ができるようにする事です。
一般的な起業というと、失敗する人も多く、ハードルが高いと感じますが、
“定年”と“ひとり”が合わさると、様子はずいぶんと違ってきます。
最初からフリーだった事業者に比べて、会社員として積み立てた年金をもらいながら、
定年のない働き方を自分で決めることができるので、リスクの少ない生き方になります。
定年ひとり起業は、まずは年金プラスアルファの収入を目指すので、
ハードルの低い働き方になります。
60歳定年、早期退職の募集、役職定年など、会社人生の節目や転機に、
ひとり起業を考えるチャンスは訪れます。
特に、定年という時期に、ひとり起業をおこなうと、
初期投資もランニングコストもほとんどゼロに抑えて起業できます。
人を雇う規模に事業を拡大せず、初期投資を極力抑え、
毎月のランニングコストが掛からない自宅で事業を行うようにします。
定年ひとり起業は、
最小のリスクで、自分で全てをコントロールする働き方、生き方になります。
▮定年ひとり起業のメリット
1.好きな事を仕事にできる
2.働く時間と場所の自由
3.経費、節税の手段があり、手取りを増やしやすい
ほとんどの定年世代が、再雇用の道へ進んでしまうため、
定年ひとり企業の実態があまり知られていないと思います。
お金の不安を明らかにする
何歳まで働くか、何歳から年金を受け取るか、どんなライフスタイルを送るか考えるため、
キャッシュフロー表を作成しましょう。
定年直前から、90歳ぐらいまで、本人、配偶者、子供の年齢で、
収入、支出のシミュレーション表を作成します
60歳という節目は、定年によって生活の支出をダウンサイジングする必要性を自覚できます。
最初の収入目標は、
年金プラスアルファ、5万~10万でスタートし、実行できることから考えてみましょう。
人生のマネープランを、野球に例えて、
先発・・・継続就業
中継ぎ・・私的年金
抑え・・・公的年金
として考えてみます。
お金の使途と出所の三分法という考え方があります。
日常生活費、自己実現、一時的支出・医療介護の3つに分け、お金の出所を管理するようにします。
マネープランとしては、毎月の収入が、生活費を払っても余剰が出るようにします。
余剰で、積立投資ができるぐらい稼げるようになったら、
それが長く続けられるようにすることを次の目標にします。
■「定年退職後は、可能であれば再就職したいけど、一旦お休みしたい」とお考えであれば・・
お金を稼ぐ働き方のスタイル
生涯の働き方を、トリプルキャリアの3つに分けて考えるようにします。
1.ファーストキャリア・・会社員として雇われる働き方。
2.セカンドキャリア・・・定年後、雇われない働き方。
3.サードキャリア・・・・ライフワークとして、セカンドキャリアの中から絞りこむ
▮サードキャリアに変換する必要性
オーナー経営者や会社の先輩を見てきて、70歳から80歳の間で、健康体力面の転機が訪れます。
そのまま、セカンドキャリアとしての働き方を続けると体調を崩し、
健康問題を引き起こしてしまいます。
だからと言って、急に、引退を宣言して、悠々自適の生活に変えてしまうと、
脳の認知機能低下を招き、家族に介護負担の危険性を与えてしまいます。
脳の認知機能低下を抑えるには、
・仕事に対する意欲
・お金を稼ぐことに対する意欲
・お金を自分で管理しようとする意欲
以上の内容を押さえて、仕事の量を減らし、細く長く働くことで、
健康寿命を延ばすことになります。
会社勤めの収入は我慢料
会社勤めは、働く意欲が削がれる、精神衛生上負担の大きい働き方です。
終身雇用を前提にした会社の中で、出世を目指してやりたくない仕事をしてきました。
やらされ仕事は、楽しくありません。
会社における実績や、お客様、社会に対する貢献度で、
人事評価や出世が決まるわけではありません。
突出した結果を出すと、ねたみや、自らの地位が脅かされるとして、
足を引っ張られることもあります。
上司やトップに対するゴマすりが、下手な人は、
実績を上げても、評価されず出世も期待できなくなります。
だからと言って、我慢して上司へのゴマすりにエネルギーを使うのは、
働くよろこびの本質から離れてしまいます。
そうなると、60歳の定年以降までも、会社で働く事にこだわる必要性が無くなってきます。
定年再雇用のワナ
60歳は、大きなキャリアの節目と考えます。
雇用形態、年収、権限、働く意欲、働き方が劇的に変わるからです。
現状、ほとんどの会社は、60歳定年としたうえで、
会社を退職、非正規の1年契約社員として65歳就業を確保する方法を取っています。
2021年4月、高年齢者雇用安定法、通称70歳定年法が施行されました。
2022年4月、年金受給を75歳まで、繰り下げる選択が可能になりました。
これらの法令の施行は、年金受給を70歳へと引き上げられる布石と考えます。
それを見越した準備をする必要があります。
予測として、年金開始年齢を70歳へ移行するためには、
60歳から65歳への移行した時と同じプロセスを経ると考えられます。
年金受給が70歳からになると、多くの企業が実施している、
55歳役職定年、60歳定年、65歳までの定年再雇用の制度変更に備える必要があります。
仮に雇用期間を5年延長して70歳までとした場合、
65歳までの雇用条件より、さらなる年収ダウンは避けられません。
その場合、ほとんどの会社員は、現在の定年再雇用と同じ、
定年再々雇用で、70歳まで、同じ会社で働く選択をしてしまうと考えられます。
変化が激しい経済環境で、企業が、70歳まで、雇用を保障するのは困難と考えます。
年金受給70歳になれば、同じ会社で70歳まで働く再雇用は、極めてリスクが高い選択になります。
・10年間の再雇用期間で年収が大きく下がる。
・勤務条件は、会社の指示にしたがう。
・自分の裁量が無くなり、仕事のやりがいがなくなる。
定年再々雇用は、現役時代の半分ぐらいになった年収が、
65歳から、さらに半減するぐらいのインパクトのある収入減になるかもしれません。
それでも、65歳まで働く時代であれば、60歳定年時に、5年間の再雇用によって、65歳からの年金受給で余生を過ごす選択は合理的な理由がありました。
ただし、70歳まで働く時代の選択肢としては、再雇用で良いのか疑問になります。
特に、60歳定年時に、いったん再雇用を選択してしまうと、
途中で、やはり働き方を方向転換すると決意した場合、そのハードルを高くしてしまいます。
60歳以降、その後10年の働き方や収入の全てを、会社に託するのはリスクがあります。
同じ会社で働き続けるのは、
一見、環境変化がなく、リスクが少ない選択に見えますが、
65歳以降も働き続ける事を考えると、現実は厳しい選択となります。
定年ひとり起業の本質と実践
定年ひとり起業の最大のメリットは、自己決定感です。
仕事の中身や進め方、働く場所や時間の全てを自分で決められます。
雇われない働き方で、自分が仕事の内容、進め方、働く場所、時間を決められると、
仕事は楽しい事に変っていきます。
定年ひとり起業は、自己決定感の塊です。
すべてのことがうまく行くわけではありませんが、100%自分が決めた結果なので、
失敗しても、何の後悔も無念もありません。
定年ひとり起業の始め方として、
まずは、仕事の内容より、自分が好きである事、情熱を傾け、続けられる事から始めます。
自らの人生のキャリアを棚卸して、自分の強み、好きな事をしっかりと把握しましょう。
会社勤めの点の経験をつなげて、線のビジネスモデルにしていきます。
前職の中では、当たり前の事、業界の常識だったことを、
全く違うところで、教えたり、伝えたりする仕事になります。
但し、昔取った杵柄では、飯は食えない現実があります。
自ら培った経験、スキルは、そのままでは、次のところではすぐには役立てられません。
ニーズに合わせてアレンジする必要があります。
会社から離れ、個人の力として、社会に貢献できるスキルとして磨きを入れます。
定年ひとり起業は、他者との調整不要で、ストレスなくひとりで責任を持つ、楽しい働き方です。
人生100年時代の最強の選択肢になります。
■「定年退職後は、可能であれば再就職したいけど、一旦お休みしたい」とお考えであれば・・
著者の定年ひとり起業の足跡
日本興業銀行に22年間勤務、新銀行東京創業メンバーとして勤務、人材派遣会社、グローバル製造業に勤務後、57歳に、早期退職で独立しました。
会社員の時、思っていたのは、自分の仕事に対する評価が、理不尽で納得できなかった事です。
ひとり起業によって、仕事観、労働観を、一変させました。
自己決定感が、仕事観、労働観に影響を与えるとは、独立するまで、わかりませんでした。
本来仕事は、楽しく、働く事は、うれしいと心の底から思えるようになりました。
今は、フリーランスで、企業研修講師、コンサルタント、執筆業をしています。
実際の業務内容
1.企業研修の講師
2.中小企業の経営コンサル
3.個人のキャリアコンサル
4.メディア情報の発信
5.ビジネス書の執筆
▮著者のひとり起業への後押しになったのは、ブログの発信があげられます。
会社員の時から、ビジネス書を読むのが趣味でした。
いままで読んだ本は、1万冊ほど、
その中の2500冊を、ブログに書評として掲載しています。
ブログは、評論家的なウンチクを説くものではなく、
本の中から、実践的な成果の出せるものを選び、中立的、客観的に伝える内容にしています。
ビジネス現場や個人のキャリア開発に役立つポイントに絞り、
わかりやすく解説し、興味のある読者に刺さる内容にしています。
ブログ記事を読んだ方から、文章を書ける人と判って、
新しい仕事のオファーが来るようになりました。
57歳の独立当初、毎月お金の余裕はなく、事業は赤字でした。
起業して3年間は、実績が出ず、苦しい時期が続きました。
但し、好きな事を仕事にすれば、
苦しくても、継続することで軌道に乗るまで耐えることができました。
60歳の時、子供が独立、教育費が無くなり、
事業が軌道に乗り始め、オセロの大逆転のように全てが変わりました。
事業が順調になった60歳の時、支出が、減って収入が増えたので、
初めて資産運用を考えるようになりました。
ひとり起業の個人事業者の経営者、役員に認められている有利な運用方法として、
小規模共済という退職金積立制度と積立NISAがあります。
定年後、よく金融機関から、公的制度や年金はあてにならないと、
金融商品による資産運用を勧めてきますが、
長く銀行員勤めた著者としては極めて危険なアドバイスと考えます。
働き方の変化の潮流
人生100年時代の到来、終身現役、人生の勝負は後半にあり
コロナ感染の中、多くの企業で、テレワークという新しい働き方が拡がり、
会社員一人ひとりが、働くことの意味や人生について改めて考えはじめました。
新型コロナ後の社会は、人々のニーズが変り、多様化してるので、
変化をチャンスに変える絶好の時期になりました。
日本企業に根付く、年功序列、終身雇用は崩壊し、
会社に人生の全てを託すリスクがあまりにも大きいと気づき始めました。
会社にぶら下がって定年まで過ごすマインドは、一掃されたとも考えられます。
これから定年世代は、70歳年金受給を前提で考えることを視野に入れましょう。
30代半ばより若い世代は、75歳年金受給を前提に人生設計を考える必要があります。
定年を迎える会社員が、60歳以降の働く自由を決められ、
雇われない働き方へ移行する考え方が、定年ひとり起業になります。
50代になったら、早く発想の転換、後半の人生戦略を煉ることを始めましょう。
定年ひとり起業の準備は、2年間がベストです。
個人の置かれた状況から始めることができます。
まず、お金にならないボランティアの仕事からスタートして実力をつけていきます。
常に学び続けて、進化することで、長く働き続けるベースを創ります。
また、定年後は、会社を離れても継続できる人間関係を持つことが大切です。
付き合う人は、自分と同じ、好きな事を仕事にしている人を選びます。
考えを共感できる人同士は、生涯途切れることなく関係を保つことができます。
定年が視野に入った時は、定年まで緊張感を持った輝く時間になります。
■「定年退職後は、可能であれば再就職したいけど、一旦お休みしたい」とお考えであれば・・
まとめ、定年ひとり起業とは
著者のひとり起業の定義
- 1.会社員として長く働いたうえで、50代、60代で独立する
- 2.個人事業主として、自分ひとりで事業をおこなう。
- 3.自宅を事務所とし初期投資を抑え、仕入れ、在庫をもたず、借金もしない。家族以外は雇わない低リスクの形態。
- 4.年金プラスアルファの収入、月5万~10万を目指す事業からスタートし得意な事を仕事にする。
- 5.会社員時代の経験、知識、スキル、人脈を活用し、足りないリソースは、外部に委託し規模を拡大せず、長く働く事を最優先に事業をする。
定年ひとり起業は、仕事の中身や進め方、働く場所や時間の全てを自分で決められます。
雇われない働き方は、自己決定感を保つことができ、仕事は楽しい事に変っていきます。
65歳以降も、好きな事を仕事にでき、定年が無く、自分が辞めると決めるまで稼ぎ続けられます。
働き続ける事で、年金に加えて、収入が確保でき、お金の不安から解放されます。
今回は、フリーの研修講師、経営コンサルタントの大杉潤さんが書いた
「定年ひとり起業」を読んで、参考になったフレーズを元に、
“ししとう”の境遇目線で紹介いたしました。
働くことの真の幸福度は、自己決定感を持てるかどうかにかかっている。
確かに、会社人生を思い返してみれば、自分の考えや主張が阻まれることの連続でした。
収入がたとえ少額であっても、自分の裁量で、好きな事ができれば、長く続けられると思いました。
思ってもいない価値観をつかむことができました。
この本に、出合うことが出来て感謝です。
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