失業手当、再就職手当、就業促進定着手当の3つの手当は、支援の仕組みが相互に連携しており、
その仕組みを知れば、支援のタイミングを事前に考えて行動に移すことができます。
定年退職後新しい職場で働くことを目指すシニアにとって、
再就職支援のスケジュールを意識し、計画的に行動することができます。
このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線でお伝えします。
就職活動の支援が連携している3つの手当
①失業手当とは
20年以上会社勤めして60歳定年退職した場合は、
150日間の失業手当(失業保険)を受給できます。
➁再就職手当とは、
再就職手当は、失業手当を受けつつ、求職活動をして、
早期に再就職できた時、祝い金として支給される制度です。
③就業促進定着手当とは
会社で働き始めて、6か月後、前職の給与より安い場合、
その一部を補填し就職先への定着を促すのが。就業促進定着手当です。
①失業中の生活支援と就職活動の支援
➁就職が決まったお祝い
③就職先への定着支援
支援のスケジュールがパッケージ化されています。
60歳定年退職者が、再就職の結果を出して得られる支援額
失業手当、再就職手当、就業促進定着手当、3つの手当を、
計画的に受け取った場合、全体の受取総額は、いくらになるか試算してみます。
ここでは、60歳の定年退職者が、
定年後に求職活動を経て、再就職し、その職場の就労に6か月以上定着したと仮定します。
算出条件
~“ししとう”~
・勤続年数・・37年
・失業手当の給付期間・・150日
・待期期間・・7日
・給付制限期間・・無し (定年退職時)
・前職の日額(実績)・・13562円
・基本日額・・6103円
・再就職手当における基本日額・・5004円 上限値(60歳以上65歳未満)
・再就職先6か月間の日額(参考値)・・7333円
(会社から提示された継続雇用時の基準給与)
①失業手当
▮失業手当の計算式
総支給額 = 基本日額 × 支給日数(150日)
上記の金額は、失業手当を全て受け取った仮定の金額です。
実際は毎月、ハローワークへ赴き、求職活動(2回)の認定を受けます。
月1回の支給額 = 基本日額 × 28 日
上記式で計算された金額を、就職が決まるまで、毎月振込まれます。(計5回)
下記の表は、
・期間中に就職先が決まらなかった場合の総額
・就職先が内定した場合の支給総額(入社日の前日までの支給日数)
①失業手当 | 基本日額 | 支給日数 | 支給残日数 | 支給額 |
---|---|---|---|---|
失業手当150日の期間に就職できず | 6103円 | 150日 | 0日 | 915,450円 |
1/3の日数を残して再就職(50日残) | 6103円 | 100日 | 50日 | 610,300円 |
2/3の日数を残して再就職(100日残) | 6103円 | 50日 | 100日 | 305,150円 |
※参考 失業手当の計算サイト
以下の数字を用意ください
離職前6ヶ月間の賃金総額・・賞与、退職金、祝金は除く
離職時の年齢・・60歳以上65歳未満
被保険者期間 ・・20年以上
➁再就職手当
▮再就職手当の計算式
再就職手当 = 給付残日数 × 再就職手当の基本日額 × 60% または 70%
給付残日数 = 150日 - 就職先入社日の前日までの給付日数
就職先が決まり、入社日の前日にハローワークへ行き、再就職の届けをした日で、
残りの給付日数を出します。
下記の表は、支給残日数による、再就職手当の額の違いの表です。
・60%の条件は、給付期間の1/3以上、給付日数を50日以上残したとき
・70%の条件は、給付期間の2/3以上、給付日数を100日以上残したとき
②再就職手当 | 再就職手当の日額の上限 | 支給残日数が全体の何/3 | 再就職手当の係数 | 支給残日数 | 支給額 |
---|---|---|---|---|---|
1/3の日数を残して再就職(50日残) | 5004円 | 1/3超→ | 60% | 50日 | 150,120円 |
2/3の日数を残して再就職(100日残) | 5004円 | 2/3超→ | 70% | 100日 | 350,280円 |
※参考 再就職手当の計算サイト
以下の数字を用意ください
離職時の年齢・・60歳以上65歳未満
基本手当日額・・5004円(60歳以上65歳未満の上限額)
所定給付日数・・150日
支給残日数・・条件1は50日、条件2は100日
③就業促進定着手当
60歳の定年退職者の場合、
長年働いた方の給与は、現役世代と比べて高めの金額です。
なおかつ、再就職後との給与格差が大きいため、
規定の計算式では、上限額を遥かに超えます。
▮60歳の定年退職者は、別の上限額による計算式になります。
前提 再就職手当における基本日額 5,004円(60歳以上65歳未満の上限額)
基本手当日額 × 支給残日数 × 40% または 30%
下記の表は、支給残日数による、就業促進定着手当の額の違いの表です。
・40%の条件は、給付期間の1/3以上、給付日数を50日以上残したとき
・30%の条件は、給付期間の2/3以上、給付日数を100日以上残したとき
③上限金額による就業促進定着手当 | 再就職手当の日額の上限に従う | 支給残日数が全体の何/3 | 雇用促進定着手当の係数 | 支給残日数 | 支給額 |
---|---|---|---|---|---|
1/3の日数を残して再就職し定着勤務 | 5004円 | 1/3超→ | 40% | 50日 | 100,080円 |
2/3の日数を残して再就職し定着勤務 | 5004円 | 2/3超→ | 30% | 100日 | 150,120円 |
※参考 就業促進定着手当の計算サイト
以下の入力項目をご用意ください
・離職時年齢:60歳以上65歳未満
・離職前賃金日額:13,562円
再就職後6ヶ月間賃金
・(日額):7,333円
・(支払い基礎日数):180日
・基本手当日額:5,004円 (60歳以上65歳未満は5004円で上限固定です)
条件1・・失業保険支給残日数:50日、再就職手当支給率:60%
条件2・・失業保険支給残日数:100日、再就職手当支給率:70%
3つの手当を全て受給した支給額
①、②、③の全ての給付を受けた合計 | 支給残日数 | 支給額①②③の合計 |
---|---|---|
1/3の日数を残して再就職し定着 ①、②、③ | 50日 | 860,500円 |
2/3の日数を残して再就職し定着 ①、②、③ | 100日 | 805,550円 |
これらの計算式の情報は、ハローワークや関連の専門サイト等に、詳細な説明がなされています。
たいがい、求職対象の全ての世代に対して、
網羅的に当てはまるよう、計算の説明がされています。
ここでは、60歳定年退職者の再雇用を考えている人向けに、条件を絞り、
当事者の視点で、手当を連続して受け取る行動をした場合を想定して、金額を並べてみました。
見えてきたのは、できるだけ早く、再就職先を決めるより、失業手当の日数を、
1/3の50日近辺まで、給付日数を残しながら求職活動するほうが、
総額が大きくなるということでした。
これは、就職活動を無理なく進ませて、
再就職が決まった場合のスケジュールに近いものを感じます。
給付日数を50日以上残すスケジュールで、行動しましょう
できるだけ早く就職したい。
定年前と同じペースで途切れなく働きたい。
早めにしっかりと給料をもらえる方が、収入は増えて定年後の生活が潤います。
とは言え、定年退職後の就職活動は、現役世代の転職とは違い、厳しいと言われています。
短期間に、ムリして動いても結果が伴うとは限りません。
求職活動の現実を体感しながら、今後の自分の生き方を再整理し、
修正を加えながら行動に移すことになります。
どの時期に就職先が決まれば、どんな支援が、用意されているのかを知っていれば、
それを就職活動の励みとして行動する事ができます。
まとめ
60歳定年退職後、新しい職場で働くことを目指すシニアにとって、
失業手当、再就職手当、就業促進定着手当の3つの手当が、
支援の仕組みでパッケージされていることを知っていると、大きな励みになります。
これらの手当の役割と内容を知る事によって、
求職活動中に、支援を受けるタイミングを意識し、計画的に行動できます。
①失業手当・・・・・・失業中の生活支援と就職活動の支援
➁再就職手当・・・・・就職が決まったお祝い
③就業促進定着手当・・就職先への定着支援
上記の手当は、失業手当を基本に、支援の仕組みが相互に連携しています。
▼60歳の定年退職者が、定年後に求職活動を経て、再就職し、定着した場合
全ての給付を受けた合計 支給額合計
支給残日数 50日を残して再就職し定着 860,500円
支給残日数100日を残して再就職し定着 805,550円
どのタイミングで、就職先が決まれば、
どんな支援が、用意されているのか、それを道しるべとして、就職活動の励みになります。
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