定年退職後に再就職の道を進む人はぜひ知ってください。
再就職手当は、失業手当を受けつつ、求職活動をして、
早期に再就職できた時、祝い金として支給される制度です。
このブログは、37年間大手機械メーカーに勤め、60歳定年退職を迎えた筆者“ししとう”が、当事者の目線を織り交ぜてお伝えします。
再就職手当とは
再就職手当は、失業手当の受給を受けながら、求職活動を行い、
早期に再就職先が決まると、もらえる手当のことです。
この意味するところは、「ハローワークの就職祝い金」です。
早く就職できれば、より多くの失業手当の給付日数が残ります。
その残った日数に応じた手当金を受け取ることができます。
まずは失業手当の認定を、ハローワークで受けてください。
再就職手当制度のねらい
再就職手当は、会社を辞めた人に、
早く安定した職業に就いてもらいたいために設けた制度です。
「いつまでに再就職をすれば、祝い金が出ますよ」と、具体的な目標期間を設けることで、
退職後の再就職を促し、社会への再参加を目指してもらうための仕組みです。
実際の再就職手当の支給額は?
失業手当の給付期間を、3分の1以上残した状態で就職が決定すると、
再就職手当がもらえます。
“ししとう”の例を参考に計算をしてみます。
▮“ししとう”の例
・2023年3月定年退職
・勤続年数 37年
・失業手当の給付日数 150日
・待期期間7日
・給付制限期間無し(定年退職時)
・再就職手当における基本日額
→ 60歳以上65歳未満は 5,004円の上限額です。
※参考 再就職手当の計算サイト
以下の数字を用意ください
離職時の年齢・・60歳以上65歳未満
基本手当日額・・5004円(60歳以上65歳未満の上限額)
所定給付日数・・150日
支給残日数・・条件1は50日、条件2は100日
▼計算式
①給付日数を50日以上残したとき(給付期間の1/3)
再就職手当 = 給付残の日数 × 再就職手当の基本日額 × 60%
➁給付日数を100日以上残したとき(給付期間の2/3)
再就職手当 = 給付残の日数 × 再就職手当の基本日額 × 70%
▼試算結果
定年退職者の給付日数 150日
①再就職手当 = 50日 × 5,004円 × 60%
= 150,120 円
➁再就職手当 = 100日 × 5,004円 × 70%
= 350,280 円
受給期間が残り3分の1以上なら支給残額の60%、
受給期間が残り3分の2以上なら支給残額の70%、
再就職手当が一括で支払われます。
つまり、より早くに再就職することによって、再就職手当の給付率は高くなります。
具体的な申請方法について
▮再就職手当申請の流れ
1.ハローワークへ就職の届け出をする
2.就職先で再就職手当支給申請書に記入してもらう
3.ハローワークへ再就職手当の申請を行う
4.就業促進手当支給決定通知書が届く
5.再就職手当が一週間以内に指定口座へ振込まれる
1.就職先が決まったら、就職日の前日にハローワークへ行き、就職の届け出を行います。
就職の届け出で必要なもの
・雇用保険受給資格者証
・失業認定申告書
・採用証明書(後日でも可)
採用証明書について
事前に、就職先の会社に記入をお願いしておいてください。
失業手当の認定手続きでもらった書類に採用証明書が含まれています。
2.就職先の会社へ再就職手当支給申請書の記入のお願いをする。
ハローワークから再就職手当支給申請書を渡されるので、
就職先で必要事項の記入を依頼します。
3.ハローワークで再就職手当の手続きをします。
下記書類を持ち、再度ハローワークへ手続きに行きます。(手続きは郵送でも可)
再就職手当の手続きで必要なもの
・再就職手当支給申請書
・雇用保険受給資格者証
・その他、ハローワークが求める書類
4.「就業促進手当支給決定通知書」が届きます。
再就職手当の支給が決定されると約1か月後に通知書が届きます。
5.再就職手当が一週間以内に指定口座への振込まれます。
「就業促進手当支給決定通知書」が届いてから、一週間以内に、指定口座へ振込みが行われます。
手続きの注意点は、就職が決まったら1か月以内に手続きしてください。
申請期限は就職日の翌日から1ヶ月以内となっています。
但し期間を過ぎても就職日の翌日から2年間は申請が可能です。
YouTubeに、再就職手当を手にした喜びを伝える人の動画を、いくつか見ることができました。
失業した人が、就職先が決まったときに、この再就職手当を知り、申請して本当に助かったこと、
そして、同じ境遇の人にぜひ知ってほしいという思いが伝わりました。
定年退職者の場合、給付期間の制限なく、すぐに失業手当の支給を受けることができます。
しかし、この動画の人は、自己都合で退職しているようで、
2か月の給付制限期間を待てず、すぐに次の職場を探す必要に迫られていました。
失業手当をもらう時間的な余裕はありません。
同じような求職者で、この再就職手当の事を知らずに再就職をしているのは、もったいない、
こんなに温かい救済があるのだと訴えていました。
定年退職者における再就職手当支給の条件ポイント
長年会社勤めをして定年退職したあなた向けに、
全条件の中から注意するべきものをピックアップしました。
・失業保険の支給残日数が3分の1以上あること
・離職前の会社に再び雇用されたものでないこと
・1年を超えて勤務することが確実であること
・受給資格決定前から採用が決まっていないこと
再就職手当の支給条件(すべて)
1.7日間の待期期間満了日後の就職であること
2.就職日の前日までに失業の認定を受けた上で、失業保険の支給残日数が3分の1以上あること
3.離職前の会社に再び雇用されたものでないこと
4.1年を超えて勤務することが確実であること
5.離職理由による給付制限を受けた場合は、待期満了日後1ヶ月間については、ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介により就職したものであること
6.原則として、雇用保険の被保険者になっていること
7.過去3年以内に再就職手当・常用就職支度手当を受けていないこと
8.受給資格決定前から採用が決まっていたものではないこと
失業保険をもらい切るほうがメリットがある?
早く就職先が決まると、受け取れたはずの金額が受け取れないじゃないか」と考え、
失業手当をもらうほうに目を向けてしまいます。
数字では、失業手当をもらい続けたほうが、支給額が大きく見えます。
失業保険を多くもらう事ばかりを考えていると、
受給満了日が迫ってくるにつれて、就職への焦りが出るでしょう。
失業手当の満了日までに再就職先が決まらなければ、無収入の状態になります。
焦りのある求職活動は、「就職できればどこでも良い」と、
企業や自己分析の手を緩めてしまい、
思っていたイメージと違う会社を選ぶ事になりかねません。
失業手当を受けつつ、冷静に就職活動ができるからこそ、
自分に合う職場と出会えるチャンスをつかむことができます。
また、
この再就職手当の単体だけで考えていると、求職活動を支える仕組みの全体像が見えてきません。
求職活動を始め、再就職が決まり、その会社に長く定着するまでを全体の狙いとしています。
これに関わる3つの支援策である、
失業手当→再就職手当→就業促進定着手当、
これらが連携して求職活動を支える仕組みになっています。
この3つの手当を順番に受給した時が、メリットが最大化します。
まとめ
再就職手当は、早く安定した職業に就くことに成功した場合、
一定の金額の支給を受けられる制度です。
この制度によって、退職後の早期再就職を促し、社会への再参加を目指してもらうためです。
失業手当の給付期間を、3分の1以上残した状態で就職先が決まると、再就職手当がもらえます。
長年会社勤めをして定年退職した人の場合は、給付期間の残り日数によりますが、
残日数50日 ・・・約15万円
残日数100日・・・約35万円
最大50万円弱まで支給される可能性があります。
失業手当を受けつつ、冷静に転職活動ができるからこそ、
自分に合う職場と出会えるチャンスをつかむことができます。
経済的な安心と、精神的な不安を解消して、定年退職後の新たな歩みをはじめましょう。
コメント